労働問題解決の手引 鳳法律事務所

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1.管理監督者とは

 管理監督者とは、正しくは「監督若しくは管理の地位にある者」をいい、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者を指す。

2.管理監督者に該当するとどうなるか

 管理監督者に該当すると、労働基準法における労働時間、休憩及び休日に関する規定が適用されない。つまり、残業代が支払われない。

3.管理監督者の判断要素

管理監督者の具体的な判断要素は下記のとおり。名称ではなく、実質を見て判断される。

①職務の内容,権限,責任
②出退社等についての自由度
③地位にふさわしい処遇

裁判例では、会社組織上の管理職とは区別し、管理監督者の範囲を限定的に判断している。

4.具体例

管理監督者に該当しないとされた例

大阪地裁昭和40年5月22日判決

「取締役工場長」の管理監督者該当性が争われた事案。
①職務の内容,権限,責任
 ⇒取締役に選任されてはいたが名ばかりのもので、一度も役員会に招かれていなかった。また、工場長とはいいながら、実質はこれも名目上のものに過ぎず、工場の監督管理権は常務取締役にあった。
②出退社等についての自由度
 ⇒他の従業員と全く同じ制限を受けていた。
③地位にふさわしい処遇
 ⇒役員報酬も無く、他の従業員と同じ賃金体系での賃金を支給されていた。

神戸地裁姫路支部平成20年2月8日判決

「支店長代理」の管理監督者該当性が争われた事案
①職務の内容,権限,責任
 ⇒人事評価について原告の意見が重視されることはない。内勤業務に関し,調査役に対し,指揮命令していたことも認められない。原告が参加していた経営者会議も懇親会という色彩が強い。支店長不在時に代行した残業命令という業務も形骸化している。したがって、原告が支店の経営方針の決定や労務管理に関し,被告経営者と一体的な立場にあったとは評価することができない。
②出退社等についての自由度
 ⇒金庫の開閉という仕事があるため、出退勤時間を自由に決められない。また、支店長の机が斜め前にあるため、自由に中抜けもできない。したがって自由度はない。
③地位にふさわしい処遇
 ⇒原告の給与を,時間外勤務手当等が支給されている調査役と比較するに,原告が,本俸,役付手当及び特別残業手当を併せて36万5000円であるのに対し,調査役が,本俸及び役付手当を併せて35万8000円である。その差はわずか7000円であり,管理監督者たる地位にふさわしい給与が支給されているとは評価することができない。

岡山地裁平成19年3月27日判決

「ホテルの料理長」の管理監督者該当性が争われた事案。
①職務の内容,権限,責任
⇒原告の判断のみで採用や解雇が決定されたということはないし,原告が採用を推薦することが直ちに被告の採用につながるものではなかった。
また、原告が各料理人の昇給を決定したり,被告の労務管理方針の決定に参画していたということは証拠上も認められない。
被告がいわゆる同族会社であったことにも照らすと,労働条件の決定その他労務管理について,原告が経営者と一体的な立場にあったとまでは,認められない。
②出退社等についての自由度
⇒原告がシフト表を作成していたが、そのシフト表の中に自分も組み込んでいた。そして原告を含む5人の料理人がそれぞれ月5日以上の休日を取っているため、4人で調理を担当する日も多かった。そのため、自己についてのみ,自由に出退勤時間を決めたり,その都合を優先して休日をとったりすることが実際には困難であった。したがって、自由度はない。
③地位にふさわしい処遇
給与面の待遇は、被告内においては高いものであったが、その待遇の故を持って管理監督者に該当するとはいえない。

東京地裁平成20年1月28日判決

「ファストフード店店長」の管理監督者該当性が争われた事案
①職務の内容,権限,責任
⇒店長にはアルバイトの採用や昇給、昇進を決定する権限はあるが、社員の採用や人事考課に関する決定権は無い。
 また、店舗の運営時間の決定や独自のメニュー作成、商品価格の決定権限も無く、企業全体の経営方針等の決定過程に関与しているとは認められない。その権限はあくまで店舗内のものに限られている。
 以上の事実から、経営者と一体的立場にあるとは認められない。
②出退社等についての自由度
 店長は自らスケジュールを決定することができ、遅刻・早退についても上司の許可を得る必要は無かった。
しかし、店舗の各営業時間帯には必ずシフトマネージャーを置かなければならないことになっていたことから、他にいないときには自らシフトマネージャーとして勤務しなければならなかった。
その上、店長としての固有の業務もあったため、長時間の時間外労働を余儀なくされていた。このような勤務実態からすると、労働時間に対する自由裁量があったとは言えない。
③地位にふさわしい処遇
 店長の収入は、人事評価や勤務実態を合わせて考慮すると、店長ではないファーストアシスタントマネージャーの収入と大差は無く、管理監督者に対する報酬として十分とは言えない。

管理監督者にあたるとされた例

大阪地裁昭和62年3月31日判決

「人事課長」として看護師の募集業務に従事していた労働者の管理監督者該当性が争われた事案
①職務の内容,権限,責任
⇒原告は看護師の募集業務の責任者として自己の判断で看護師の求人、募集のための業務計画、出張などの行動計画を立案・実施する権限が与えられていた。
この業務の遂行に当たっては、必要に応じて各病院の人事関係職員を指揮命令する権限も与えられていた。
そして、一般の看護師の採用・配置の権限も与えられており、婦長クラスの看護師についても被告理事長の採用決定手続に意見を具申していた。
②出退社等についての自由度
⇒原告はタイムカードの打刻を義務づけられていたが、これは給与計算上の便宜に過ぎず、出勤日における実際の労働時間は原告の自由裁量で決定することができた。
③地位にふさわしい処遇
⇒時間外手当の代わりに、責任手当、特別調整手当が支給されていた。

東京地裁平成19年3月22日判決

「営業部長」の管理監督者該当性が争われた事案。
①職務の内容,権限,責任
⇒原告は被告代表者と部門責任者のみから構成される経営会議やリーダー会議のメンバーであった。したがって原告が被告において経営幹部として待遇され、その役割を果たすことを期待されていたことは否定し難い。経営会議やリーダー会議で意見を発したか、または、発した場合の影響力の有無といった事情は管理監督者性を判断するうえでさほど重視すべきものとはいえない。
 人事権についても、最終的な決定権限が原告に委ねられていたとはいえないが、営業部に関しては、部門長であった原告の意向が反映され、その手続・判断の過程に原告の関与が認められていたとみるのが相当である。
②出退社等についての自由度
⇒原告はタイムカードを打刻していたが、遅刻・早退等を理由として原告の基本給が減額されることはなかった。したがって、タイムカードを打刻していたという理由のみから原告の労働時間が管理されていたとはいえない。
③地位にふさわしい処遇
⇒原告の給与は、被告代表者、工場長につぐAそしてB(被告創業当初からの社員であり、本事件の共同原告の1人)に次ぐ高い金額であった。

大阪地裁平成20年2月8日判決

「支店長」の管理監督者該当性が争われた事案。
①職務の内容,権限,責任
⇒原告は大阪支店の長として30名以上の部下を統括する地位にあり、被告全体から見ても事業経営上重要な上位の職責にあった。
 原告は大阪支店の経営方針を定め、部下を指導監督する権限を有しており、中途採用者については実質的に採否を決定する権限が与えられていた。
 原告は、人事考課を行い、係長以下の人事については原告の裁量で決することができ、社員の降格や昇格についても相当な影響力を有していた。
②出退社等についての自由度
⇒原告の出欠勤の有無や労働時間は報告や管理の対象外であった。
③地位にふさわしい処遇
⇒原告は月25万円の職責手当を受け、職階に応じた給与と合わせると賃金は月82万円となり、その額は店長以下のそれより格段に高かった。

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