労働問題解決の手引 鳳法律事務所

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不当な解雇、長時間労働、理不尽なパワハラ… 解雇の無効化や残業代、損害賠償の請求ができる場合があります。自分に多少落ち度があると思う場合でも、諦めたり、泣き寝入りせず、一度ご相談ください。

1.解雇の種類

解雇には、大きく分けて下記の3種類がある。

(1)懲戒解雇
 企業秩序違反行為に対する制裁罰である懲戒処分として行われる解雇のこと。

(2)普通解雇
 上記(1)を除く、能力不足等を理由とする解雇。

(3)整理解雇
 使用者側の経営事情等により生じた従業員削減の必要性に基づきなされる解雇。労働者側に帰責事由が無い点が上記(1)(2)と異なる。

今回は、(3)の整理解雇についての解説。

2.整理解雇の要件

 以下の4要件を満たさない整理解雇は労働契約法16条違反(解雇権濫用)になり、無効となる。
(1)人員削減の必要性があること
(2)解雇を回避するための努力が尽くされていること
(3)解雇される者の選定基準及び選定が合理的であること
(4)事前に説明・協議義務を尽くしたこと

3.具体例

(1)人員削減の必要性について

必要性を否定した例

■大阪地裁平成7年1月10日決定
支店長を除く支店の全従業員が解雇された事案。人員整理の必要性が否定された理由の概要は下記のとおり。
・整理解雇を必要とする程度に経営が逼迫していることの説明が無い、新規社員を募集・採用していることからすればなおさらである。
・必要性があったとしても支店においてその後も3名の従業員により営業継続されている(本社からの配転社員と新規採用社員)。したがって支店の全従業員を解雇する必要性はない。

■大阪高裁平成23年7月15日判決
 高校の教員らが解雇された事案。人員整理の必要性が否定された理由の概要は下記のとおり。
・整理解雇前までに11人の専任教員の退職が予定されており、これにより相当経営状況は改善する。したがって、それ以上の解雇をする必要性はない。
・平成20年度において、その前年度に削減した教員数に相当する18名を新たに採用している。したがって、この整理解雇は人の入れ替えを目的としたものである。

必要性を肯定した例

■東京高裁昭和54年10月29日判決
 被控訴人(原告)らが、被控訴人の勤務する事業部門(アセチレンガスの製造部門)の閉鎖に伴い控訴人会社(被告)に整理解雇された事案。一審では被控訴人の解雇無効の主張が認められたが、二審で覆された。

 高裁が整理解雇の必要性を認めた理由の概要は下記の通り。
・特定の事業部門の閉鎖に伴い従業員を解雇する必要性が認められるには、事業部門の閉鎖が企業の合理的運営上やむを得ない必要に基づくものと認められる必要がある。企業の経営が全体として破綻し、ひいては企業の存続が不可能になることが明らかな場合で無ければ従業員を解雇できないという考え方には同調できない。
・控訴人会社のアセチレン部門の業績の不振は一時的なものではなく、同業各社に共通する業界の構造的な変化と、控訴人会社に特有の生産能率の低いことが原因である。その原因の除去はいずれも困難であり、同部門の収支の改善はほとんど期待できない。このままの状態で漫然と放置されれば、主力の酸素製造部門が設備投資その他の面で同業各社との競争に立ち後れ、会社経営に深刻な悪影響が及ぶことは明らかである。
・以上からすると、控訴人会社が会社の採算上多年マイナスの要因となっているアセチレン部門を廃止することは、企業の運営上やむを得ない必要があり、かつ合理的な措置であったと言わざるを得ない。

(2)解雇を回避するための努力が尽くされていること

解雇回避努力が尽くされていないとした例

■東京地裁平成17年9月30日判決
 恒常的に従業員1人あたり月平均50時間の残業を前提に業務を行っているにもかかわらず、残業時間の規制・調整による余剰人員吸収の余地を考慮していないなどとして解雇回避努力が尽くされていないとした。

■大阪地裁堺支部昭和54年4月25日判決
 希望退職の募集をしたが、その応募者に対して使用者が慰留し、別の労働者を指名解雇した事案。解雇回避努力を尽くしていることにならないと認定された。

■大阪地裁平成12年5月8日判決
 被解雇者が現職以外の職種についても希望していたこと等から、解雇回避措置として被解雇者を配転することを検討する余地があるとして、解雇回避努力を尽くしていないとした。

■東京地裁平成24年2月29日判決
 極めて高額な役員報酬(5人で3億2000万円を越える)に全く手を付けずに整理解雇を断行したことは解雇回避努力を尽くしていないとされた。

(3)解雇される者の選定基準及び選定が合理的であることについて

否定した例

■東京地裁平成13年5月17日判決
第二次仮処分で初めて「業務に非協力的で職員としての適格性を欠く」との人選基準が主張された。これについて、解雇当時のこの基準を明らかにできなかった合理的な理由はないとして、人選基準の合理性を否定した。

■甲府地裁昭和62年5月29日決定
直近3回の勤務考課表の合計点を基準を基準として整理解雇を実施したと使用者が主張。しかし、合計点を知り得るのみで、その具体的内容が明らかでないとして具体的人選には合理性・相当性が無いとした。

■東京地裁平成13年12月19日判決
解雇基準を満53歳としたが、再就職が困難な年齢であること、早期退職の代償となる経済的利益や再就職支援が無いこと等から、基準の合理性を否定した。

肯定した例

■福岡地裁平成4年11月25日判決
満53歳以上の者を解雇の対象とするという基準について、定年が55歳であること、退職金の支給その他の点で配慮が払われていることにより、恣意の入らない客観的基準として合理性を認めた。

■東京地裁平成24年3月30日判決
「目標達成に達しない場合の年齢基準」という人選基準について、解雇者の恣意が入る余地が無いことや、年齢の高いものほど人件費の削減効果が大きいこと等を考慮し、他の人選基準を満たさない場合の補助的基準とすることは合理性があるとした。

(4)事前に説明・協議義務を尽くしたこと

説明・協議義務を尽くしていないとした例

■京都地裁平成8年2月2日判決
貸借対照表等の資料につき、その量が膨大であるからという理由で、閲覧のみを許し、コピーをさせなかった会社について、説明・協議義務を尽くしていないとした。

■大阪地裁平成18年10月26日判決
パチンコ店の新店舗の開店計画を秘密にしたまま、旧店舗の閉店を理由に全従業員を解雇したことについて、それ自体解雇権の濫用にあたり、解雇無効となるとした。

■東京地裁平成15年12月22日判決
組合の事前協議等の申し入れを拒否し、その後行われた団交においても通達内容の説明に終始し、人選基準の具体的説明も拒否し、会社として話すことは無いとして交渉を打ち切った事案につき、説明・交渉義務を果たしていないとした。

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